生まれながらに

 人としてこの世に生まれ、人間として人生を生きるために、第一に知らねばならないことは、人間の”いのち”に生まれながら与えられた、生きる力に対する法則である。自分の命の中に与えられた、力の法則というものを、正しく理解して人生を生きる人は、限りない強さと、歓喜と、沈着と、平和とを、作ろうと思わなくても出来上がるようになっている。一番先に我々はそれを知らなければならない。

 ただ、はっきりと気がつかなくても、我々の多くは、こうしたことを求めていたに違いないのである。どうしても自分の心にキャッチすることができなかったのは、我々のいままで受けた教育教養が、科学的な方面のみの片寄ったものであったからなのである。1+1=2という、この算数的やり方で教育された結果として、論理思索を進めていこうとする計画に、いつも失敗しているのである。

 我々の心が、あることを考え始めたときに、どこまでが考えている心で、どこまでが考えられている心かという区別がつかない。一言でいえば、哲学的思索に馴れていない。そのために自分の生まれながらに与えられた生命の力に対する法則は、本能的に知っているはずの事柄であるにもかかわらず、それをわからずにいるのである。