心が喜ぶ想像

 人間は、暇なときがあるんだから、たとえ二分でも三分でも、そういうときは静かに、気が散らないように目をつぶりながら、自分の楽しめるような、喜ぶような想像を心の銀幕に描くということが必要なんだ。

 たとえよしんば、現実どんな病にかかっていようと、どんな悪い運命にいようと、心がそれから離れているときは、それがあるもなきに等しいということを、考えなきゃだめなんだよ。

 その証拠には、今日、明日死ぬという病人でも、グッと前後も知らず寝ているときは、その人はもう重病人じゃありませんよ。感覚的には何にも感じていないんだ。

 まして、悲惨な境遇のなかにいても、自分の気持ちのなかに、ある時間内だけは晴れやかな気持ちをもたせりゃ、その時間内だけは晴れやかであったということになるだろう。すべてキャンセルした後のトータルを見てごらん。

 こういう非常に奥深くはかり知れない哲学的消息があるということを、まず第一に悟らなきゃ駄目なんだよ。それが結局、常に心を積極的にしっかりと保っていく秘訣なんであります。