いのちの力の使い方

 いのちの力の使い方・・・・・・結論からいうと、これは極めて短い言葉で表現することができる。すなわち、『力を入れることに重点をおかずに、力を働かすことに重点をおく』・・・・・・これである。

 ところが、世の中を見てみると、その日々の生活を行う際、この力の使い方を考えないため、かなりに力の無駄使いをしている傾向がある。何事に対しても、力の無駄使いくらい無意義なものはない。いたずらに疲労のみ過大する以外、何ものも「実」にならないからである。俗に骨折り損のくたびれ儲けとはこのことである。

 剣の極意は「変機に処する以外には、いたずらに力を入れぬこと」であり、これが臨機応変の要訣である。人生生活を完成するいのちの使い方もまたこれ以外にない。実際、日々の暮らしにも、ただ力の入れ通しでは、いたずらにいのちの消耗を大きくするだけである。

 もっと気楽な、堅苦しくない、言い換えれば、円転滑脱、のびのびとした気分で、力をスムースに働かすといった生き方でないと、多端な人生を生きていく力が、長く保てないことになる。ましてや、今日のような複雑な感覚のある時代に生きていくのには、一層「いのちの力の使い方」ということは、もっとも大切なことである。