理想

 「理想」というものは、心理学者はこう言っています。「継続せる組織のある連想」。これをやさしく噛み砕いて言うと、ある組み立てのある考え方がそのまま継続している状態を「理想」と言う。

 また、純粋哲学の立場から論じると、理想というものは立派な「自己を生かす宗教」だと言えるのであります。もっとも現代人の考えている宗教は、自己を生かされるためにあるものが宗教だと、こういうふうに考えているから、自己を生かす宗教というような言葉はピンとこないかもしれないけど・・・・・・何かあると、自分の力で自分を救い上げていこう、導いていこうというような、人間としての本当の自覚がなくて、すぐ自分以外の人間の力なり、神の力に頼ろうとする。

 確固不伐の理想、いわゆる組織の完全に具体化された考え方、思い方が、いっこうに変わらない状態で自分の心にあったら、理想そのものが自分の人生を立派にリードして、自分というものを、どんな場合があろうとも迷わせない。ちょうど立派なレールの敷かれた上を快速力で列車が走ると同じ状態で、人生を生き抜いていかれるわけだ。

 それはなぜかというと、継続せる組織のある連想、言い換えれば理想ほど、人の心を勇気づけ、また積極化するものはないからであります。