なに気なしに行わない

 何事に対しても、まずそのものの中から何かの興味を見出すか、またはつくり出すかして、どんな興味のないものに対しても、必ず意識を明瞭にして応接する習慣をつくるようにする。もっとわかりやすく言えば、何事を行う際にもけっして「なに気なしに行わぬ」ことを心がける。

 これを「有意注意力」というんだが、これが習慣化されてくると、自然と注意が注がれる範囲が拡大されていって、一度に多数または多方面に自分の注意を困難なく振り向けられるようになってくる。言い換えると、やたらにくだらない不必要な消極的観念が心のなかを占拠して、有意注意力をかく乱するということがなくなってくる。

 その当然の帰結として、連想力が正確になり、いわゆる思想の整理が自然に巧妙になされるようになると同時に、記憶力がすこぶるよくなるんです。どうしてかというと、いったん心の前に置かれた事物の一切をその心に深刻に印象づけて、細大漏らさず心のなかの記憶の倉庫内に入れてしまうからだ。

 だから、いつも何事でも自分の好むことを行うときと同様に、気を込めておやりなさい。