真の平和とは

 家庭以外の人に対しては自制できることも、家庭内においては断然自制できない。それどころか自制する必要がないようにそれを当然の態度のようにさえ思っている人がいかに多いかである。よくよく考えてみれば、家庭生活の大部分を感情重点主義で行われているような人が、自分自身自己のその点を知る知らざるとを問わず、それが習性化されている人々が社会や国家を形成している限りは、勢い世界平和というものは、その実現の日を遠い将来におかざるをえなくなると思われる。なぜならば、感情重点主義の生活を行う家庭には、真の平和というものがないからである。

 真の平和とは、お互いに克己し、お互いに自制し、お互いに相譲り、相敬い、相愛し、相たのしみ、相導き、相助け合う、という完全調和の美しい気持ちが、家庭組織の各個々人にもたれているということが、何よりの先決条項である。

 したがってこうした真の平和生活のでき得ない人々が相集まって結成した社会国家が、どうして真の平和を成就することができるであろうか。

 なおあえていう、 「請う先ず隗より始めよ」のたとえ通り、真の世界平和建設の重要な要素は、いうまでもなくすべて個人個人の家庭生活をまず真に平和なものとすることに努力すべきである。