祈らずとも

 あなたがたは、抽象的で、あまりにも漠然としたものを、やれ、神だ、仏だ、と思っているが、では「神とはどんなものか」と聞かれたら、どう説明するか。見たことも聞いたこともないものに、説明の与えられるはずはない。そう思うと、何となく安心が出来るといったような、同時に、自分が一番の信仰というようなものを、何となく気高いと感じる、という感じで考えられるだけではないだろうか。だから私から言わせれば、やれ神だ仏だ、といっている者は、安直な気休めを人生に求めている哀れな人だといわざるをえないのだ。

 第一、もし、あなた方が考えているような神や仏が、この世の中に存在したら、この世界に戦争などあろうはずがないではないか。キリスト教の人間たちが、地球をも破壊するような原爆や水爆を、考え出す必要もないじゃないか。もし本当に、あなた方が思うような神や仏があり、それに信仰を捧げたなら、即座に神や仏のような気持ちになれそうなものではないか。

 本当の真理から論断すれば、何も神や仏だのと頼らなくてもよろしい。昔からの歌にもある。

 心だに 誠の道に かないなば 祈らずとても 神や守らん