本当の心のすがた

 本当の心の世界には、人を憎んだり、やたらにくだらないことを怖れたり、つまらないことを怒ったり、悲しんだり、妬んだりするというような消極的なものはひとつもない。あるように思えるのは、そこに悪魔の心が入り込んでいるからだと、ヨガの哲学では説いているんです。心本来の姿は、八面玲瓏、磨ける鏡のように清いものだ。その清い心にいろいろ汚いものを思わせたり、考えさせるのは、それは心本来が思ってるんじゃない。悪魔がその心の陰で悪戯してるんだ、と。

 なるほど、この考え方はいい考え方だ。自分が心配したり、怖れたりしているときに、その思い方、考え方を打ち切りさえすれば、もう悪魔はそのまま姿をひそめるわけだねえ。

 光明を人生に輝かせようと思っても、そうした気持ち、心持ちにならないかぎりは輝いてこない。だから、「きょう一日、怒らず、怖れず、悲しまず」と、言っているじゃないか。この「怒らず、怖れず、悲しまず」こそ、正真正銘の心の世界の姿なんだ。

 静かに自分自身、考えなさい。何かで怒ってやしないか。何事かで悲しんでいないか。それとも何か怖れていやしないか。すべて消極的な気持ち、心持ちが心のなかに出れば、自分が批判する前に、自分の心それ自体が非常な不愉快さを感じるからすぐわかるだろう。